診療科目一覧
はじめに
以前に比べると減りましたが、時々、こんな3~5歳のお子さんがお母さんに連れられて来院されます。
「先生、ウチの子、乳歯に大きなむし歯があるんです。 以前も歯医者さんに連れていったことはあるんですが、すごく泣いて嫌がるために治療ができなかったんです。しょうがないので今は痛み止めの薬を飲ませんているんです」
小さいお子さんのむし歯治療はなかなか難しいことが多いです。大人でも怖い麻酔を使ったむし歯の治療。キーンという甲高い歯を削る音。治療中はお口の中に水があふれて、息を吸うのも大変。 何度か練習を重ね、上手に治療が出来るようになるお子さんもいらっしゃいますが、出来ないままのお子さんも多いのです。
痛みがひどい…でも、上手に治療が受けられない。
そんな時、日本の歯科では主に2つの選択肢があります。
- ① 抑制治療
- 暴れると危ないので、ネット(網)に入れ、大人が数人がかりで押さえつけて治療。
- ② 全身麻酔による治療
- 入院施設のある大学病院や口腔外科病院で、全身麻酔をして治療。
どちらの治療も、私たち大人ですらちょっと恐怖を感じてしまいますよね。
私どもの医院では①の抑制治療は現在行っていません。数年前、ある歯科医院では治療のために押さえつけることでお子さんが窒息し、亡くなるという痛ましい事故がありました。いくら治療のためとはいえ、暴れるお子さんを無理に押さえつけると、事故や怪我などが起こることがあるのです。 また、大きな大人が押さえつけて治療をすることで、心に傷を負ってしまうこと(トラウマ)があります。ショックでおねしょが始まるお子さんもいらっしゃいます。
ですから私どもは、まだ上手に治療ができないお子さんでお痛みがひどい場合、②全身麻酔による治療をおすすめしています。当院でも年に数人いらっしゃいます。 安全に治療は受けていただけますが、小さな身体への負担や、それを見守るお母さんや お父さんの心情を察すると、できることなら避けたいといつも思います。
私自身が、小さい頃からむし歯になりやすく、泣きながら歯医者に連れて行かれて、泣きながら治療をして、学校検診でまたむし歯が見つかり、時には痛くなり歯医者に駆け込み・・と行った子供時代を過ごしました。当院に関わるお子さんの歯と健康を守りたい。そんな思いで始めたこの医院です。
上のような大変な状況にならないよう、むし歯や歯周病のない、健康な歯ならびのお子さんをたくさんつくりたい。
私たちはそんな思いで、小児歯科そして予防歯科をやっています。
(1)お子さんの成長にあった治療
当院では虫歯があるからといっていきなり削るようなことはいたしません。
はじめは診療室に入るなり、泣き出して治療ができないお子さんもいらっしゃいます。過去に抑えつけられ、むりやり治療をうけ、トラウマがあるお子さんは特に大変です。いざ永久歯が生えてきた時に歯を守ることが難しくなります。
そういったお子さんも少しずつハードルを上げることで徐々に治療を受けられるようになり、自信をつけ、さらに次のステップに進むことができます。
まずは診療室の雰囲気やスタッフに慣れてもらい、中にスムーズに入ってこられるようになればユニットの上に座ってもらう。それから歯医者さんの道具にちょっとずつ慣れてもらい、簡単に済む治療から行っていく。そして必要な治療まで進めていく。
こういう風に進めていくと、歯医者さんに恐怖心の強い子ほど、通院する回数がかかり、お母さんは大変ですが、子供さんはスムーズに治療を受けられるようになり、そのことが自信になって成長していくのです。
(2)ラバーダム防湿
(3)おへそのおまじない
麻酔をする時は“おへそのおまじない”をして、なるべく子供を怖がらせないようにしています。
- ★麻酔時にお子さんにおへそを押していただくタイミングで麻酔をするため麻酔時の痛みがかなり軽減されます。
- ★モチロン麻酔は子供には見せません!

(4)ごほうび
頑張って治療できた子はシールやガチャポンをご用意しています。
- ★検診(リコール)時のときにむし歯ができてなかった子ももらえます。

ラバーダム防湿とは歯の周りにかけるゴムのシートのことです。虫歯の治療や歯の根の治療の時に唾液に含まれる細菌や水分から遮断する時に使います。また、器具の誤飲や舌の損傷を防ぐといった意味で非常に有効で安全な方法です。
しかもお水がのどに入ってこないのでそのまま寝ちゃう子も。。。zzzz